ランクルスの墓場

クソ記事を垂れ流す場所

後輩のゲームを遊んでみた!

この記事はTwitterに載せる気はないので挨拶文は省略します。

ぼくの記事が大好きな異常者が見つけてくれるかもしれませんね。

さて、今回の温泉ではHANABI以外にももう一つ大きなイベントがあり、「我々の後輩の作ったボドゲを回してみよう!」というものでした。


大学在学中に4年という期間をかけても1作品、だいがくぐらし!しか作らなかった、作れなかった誰かさんとは違い、なんとすでに3作品も制作、販売されているとのことで、物好きなオタクがゲムマ出品されたものを購入してきてたんですね。


まず、「サンスー教の儀式」

ゲームコンセプトは協力ゲーム。
1〜9の数字と+、×のどちらかが1枚のカードには書かれており、プレイヤーはカードを2枚出して二則演算を行い数字を加算していく。山札が尽きる前に100を目指す、というゲームでした。

もちろん、9×9=81が成立すると崩壊するので、繰り上がりは1づつやってねという記載がありました。
これについては説明書に記載がなかったのですが、どうやら、0.10.20のように、10の倍数は必ず踏んで上がっていかなければならないようです。

というわけで1ゲームやってみたのですが、かなりオブラートに包んでも、2回目のプレイはないな…という感想でした。


1番大きな問題は「協力ゲーム」として出す必然性が全くない、ということにあります。
協力ゲームの最大の醍醐味は、コミュニケーションをある程度縛られた上で、個人ではなく、全体に対しての最善行動を目指はところにあると思います。
しかし、このゲームではそれはありません。与えられた盤面に対して自分ができる最適解を繰り返すことが、それ即ち全体に対しての最適解となってしまいます。
はっきり言って、1人プレイでも2人プレイでも難易度は変わりません。というより、使える山札の枚数が増えるだけ、1人の方が簡単とも言えるのではないでしょうか。

2つ目の問題として、安定行動が極めてわかりやすく、それ以外を取る価値がなく、そしてそれが容易いということです。

10の倍数ずつ数字を増やしていくのであれば、5×2=10が1番手っ取り早く、さらに×2を加えて5×2×2=20という拡張性もあるのでこれがどうみても強い行動です。
というより、それ以外に価値がありません。なのでプレイヤーは、5×2×2+5×2×2…というふうに数字を伸ばしていくプレイングを目指すことになります。
ですが、手札の数字は1〜9まであり、不要な数字もあります。その数字の処理にゲーム性を求めることも可能なはずです。
しかし、全ての数字には+か×のどちらかが記載されているため、2と5は絶対に数字で運用、その他の数字は基本的に演算子で運用しつつ、事故ったときの補填用として使用する、というプレイング以外を取ることはあり得ません。
(仮に説明書に記載がない通り10の倍数を踏まなくても良いとしても、プレイングが変わることはないと思います)


確かに山札の枚数が多少シビアな面はあるのですが、戦略にこれ以上のパターンもありませんので、1プレイ目の途中の段階で必勝法に気付き、「これ、5×2×2だけじゃね?」という認識を共有して、解散となりました。



続きまして、「お支払いは、錬金で!」

これはぼくが思っているだけで重要な要素ではないのかもしれませんが、このゲームはタイトル詐欺です。
こんなに怒るのはぼくだけかもしれませんが、ゲームの名は体を表すだと思っているのでかなり憤っています。
このゲームは対戦ゲーム。盤面に供給される5種類の錬金石を手元から自分の魔法陣に乗せ、4地点×3枚ずつを設置できたプレイヤーの勝利というゲームです。

そうです。「お支払い」要素はありません。
説明書を読むと錬金を行なってできたゴールドで最終的に買い物をするみたいな話でしたが…
ぼくは良くないと思います。

さて、私怨も吐いたところで1ゲームやってみたのですが、ゲームエンドまでプレイするモチベが続きませんでした。

説明書の読み違えだったら大変申し訳ないのですが、
このゲームは

初期の資材は手元にランダム3枚、盤面に0枚
各プレイヤーの手番の開始時に盤面に石が1枚供給される
手番にできることは4つのうちのどれか。
①盤面の石をルールに従って手元に加える
②手元の石をルールに従って魔法陣に置く
③魔法陣を半分入れ替え。後に②を行なっても良い
④魔法陣から石を2個取り除いてアタック
※ゲームに1度だけ、手元から石を2個払って②〜④のうちどれかを行える
勝利条件、終了条件を満たすまで繰り返し

という認識です。
このゲームの本題は②〜④を行なって魔法陣が潤沢になってからだと思うのですが、実際にプレイを行ってみるととんでもなく長い期間①が繰り返される展開が続きました。
もちろん、他の行動をすることも考えたのですが、その場合場に残った石を次のプレイヤーの①で取られてしまうため、①以外の行動ができなかったという方が正しいです。
と、いうわけで「妖怪小石拾いやんけ!w」となってしまったためゲームが終了となりました。
ぶっちゃけ④のアタック効果もかなり強く、完全勝利は無理なのでは…?と嫌な予感はしていたのですが、その段階に立つこともできず、解散となりました。


最後に残ったのは、「トレジャーハンター」

こちらも対戦ゲームで、双六をしながら宝探しを行い、戦闘までできるという凄そうなコンセプトです。
勝利条件は宝物4種類の獲得…なるほどね…と盤面を作り、説明書を読んだところで驚愕しました。

「え!この盤面の広さで移動が1D6!?」
「これマジ?マップの広さに比べて機動力が貧弱すぎるだろ…」
「追加ルールで、移動を2D6にするやつ採用しましょう」
残当

というわけでやり始めましたが、あまりにヤバかったので途中リタイア、解散して温泉となりました。

このゲームの1番の問題点は、やはり1D6でこの広大な盤面を走らせようとしたことでしょう。
急行カードなしの桃鉄かな?明らかに無理がある。
お宝への到達はおろか、アイテムの獲得、接敵すらおばつきません。というより、2D6ですら結構キツかったです。
また、アナログで桃鉄をやることになった時の最大の問題点は桃鉄でいう「いけるかな?」がないということです。2D6でももうきつい。ダイスロールの回数を増やせるカードを使っていたとするともっと大変です。

2番目に大きい問題点は、トップに立ったプレイヤーを止める術がない。つまり逆転要素が圧倒的に少ないということです。
このゲームには、「トレジャーハンター」というアイテムがあり、はっきり言って最強のアイテムです。最終的に勝利を収めたプレイヤーのうち90%はこれを装備していると言っても過言ではないでしょう。
効果はバトルで攻撃を行う際、代わりにオタカラを1枚奪うことができる効果。
オタカラに直接干渉できるアイテムカードはこれくらいしかなかったはずですし、トレジャーハンター自体を奪うことができるカードも40枚と豊富なアイテムカードのうち2枚しかありません。

また、通常の桃鉄であれば、デビル派遣、豪速球、とっかえっこのようなカードにくわえ、貧乏神の変身のような、逆転に繋がるアタックが含まれると思われるのですがそのようなものはなく、「オタカラを2枚以上持っていたら使用可能」、「手元のオタカラの数だけ〜」というトップ目をさらに伸ばすようなカードしかありません。
しかも、オタカラの所持枚数による常在効果があり、オタカラを2枚以上でバトルの攻撃ダメージが+1個、3枚で青マスをアイテムマスとして使用可能、4枚で赤マスでダメージを受けない、5枚で移動ダイス+1と、どんどん1位のプレイヤーにバフが乗っていきます。

それならバトルで脱落狙いをしようにも、最大HPが20あるのにバトルで与えられる最大ダメージは1D6と期待値で6回も攻撃をしなければならないのに、攻撃をもらったプレイヤーはエリア内の好きな場所にワープして逃げることができる(実質6マス以上移動できる)上に、相手がトレジャーハンター持ちの場合は返しで殴り返されてオタカラを奪われて萎え萎えです。

完全にバトルは仕掛け損です。

なので、初めにトレジャーハンターのマスに到達したプレイヤーの勝ちがその瞬間にほぼ確定しつつも、広大な盤面と貧弱な機動力のためゲームはダラダラと続き、最終的にトレジャーハンターのプレイヤーが無双して終わり、というゲームになってしまうのではないでしょうか。


このあと温泉の中でも侃侃諤諤意見を交わしましたが、総評としては、

・3ゲーム全てにおいて、テストプレイは行われていたのか。行われていたとするなら、制作者は本当に面白いと思ってゲームの制作に至ったのか
(まともにテストプレイをしていれば、妖怪小石拾いやデカすぎる盤面にそぐわない機動力の少なさは真っ先に是正されると思われるため)

・安定行動以外をする理由がないので、安定行動以外をする必要がない
(強い行動を作る必要はあるが、それしか選択肢がないという状態はゲームではないため)

・トップ目が優遇される行動が多く、逆転要素がない
(魔法陣に石を多く置けるプレイヤーもオタカラを多く持っているプレイヤーも当然トップ目であると考えられるため)

というのが全体的な問題。


細かい改善案としては

サンスー教
・例えば4人が同時にカードを1枚出してそれの組み合わせを考えるなど、プレイヤー間で何らかのコミュニケーションを取る意味を持たせることが必須(この案は2.5.×の札しか出てこないのでダメだが。)
・確実に10の倍数を踏ませるのではなくそれぞれ1の位をランダムに変えたらどうか
・ゲームとしてはギリ成立しているため、正直改善が難しい
・算数の四則演算が題材のはずなのに、-と÷はどこに行ったのか


錬金

ランクルスの個人的な意見として、タイトル詐欺なので改名して欲しい
・ゲーム序盤がゲームの続行を諦めてしまうレベルでとにかく冗長。場への供給枚数は少なくとも2枚でなくてはならないし、3枚以上であるべきかもしれない
・あまりにも序盤が苦痛すぎて本質の部分に触れることができないまま終わってしまったので、ゲームとしては改善の余地が1番あるのではないか
・ここからは未検証なのでエアプ発言だが、アタックが強いのではないか(自身の魔法陣に1個ゴミを置かれると、それを排除するために最短で2Tかかってしまうので、その間に追撃を受けてしまう)
・勝ち筋のないプレイヤーが最後に妨害をしなかったプレイヤーが勝ちというゲームになりそう


トレジャーハンター

・盤面がデカすぎて固定資産税がかかりそう。盤面が広大なのに移動力が貧弱すぎる。しかし、盤面も移動力も潤沢にするとどこに止まれるのかがわからなくなるため、盤面の方を削るのが板ではないかと思う。
・全てが半分でいい。盤面も2×2、体力も10、アイテムカードも20枚。オタカラだけは3種類くらいが良さそう
・現在のカードを残す方針でいくなら、トレジャーハンターを獲得したプレイヤーは実はセガールでした!私はセガールなので好きな場所に移動できます。バトルは必殺ですなどと好き放題やり、セガールTRPG(わからないと思うのでググってくれ)のようにセガールになったプレイヤーが一瞬でゲームを終わらせられるレベルでのバフを与えないといけない。トップが決まったのにダラダラとゲームが続くのは冗長。

・トレジャーハンターというアイテムがかなり強いので、トレジャーハンター自体を奪い合うところにゲーム性を求めることも可能か。
トレジャーハンターを奪い合うゲーム性ならバトル面を強化し、死亡前提でリスポーンがあるとか…
アイテムを奪えるスティールのアイテムの密度を高める必要もありそう

・トップ目が勝ちにくくするために、たくさんオタカラを持ってると鈍足になってサイコロの出目に-1するとかも考えられる

・HP20という一見高いHPを活かすなら、毎ターン終了時にダメージを受けることにするのはどうか。20T(行動)でゲームエンド。探索終了を宣言すれば脱出可能だが、残HPがそのまま行動の回数になるので、殴りでダメージを与えることができればそのまま妨害になる。相手より長く探索したいが、行動回数を稼いだ結果少ないHPで殴られるとそのまま致命傷となるシステムにゲーム性を求めるのはどうか。



まとめ
後輩に対してここまで強い言葉を使うのは心苦しいですが、3ゲームともゲームと呼ぶこと自体が失礼なレベルで面白くなかったです。
非常に残念。

ゲーム制作は、何もない0の状態からとりあえず何かを出力して、それに調整を加えながら完成品の10を目指していくものだと思っています。
この3ゲームでは、2がせいぜいでしょう。
これを叩き台として、どういうふうにしたら面白くなるか、どういうふうにしたら戦略性が生まれるのか、どういうふうにしたらまた遊びたいと思えるのか、それを製作陣で考えていってほしい。そう思います。


おわりです。

次回作があれば、期待しています。